全日病ニュース
医療を変えるサイバニクス技術の現在と未来
医療を変えるサイバニクス技術の現在と未来
【特別講演4】成熟社会を支える革新的サイバニクス
~人、ロボット、AI、IoH/IoT~
山海嘉之・筑波大学教授/CYBERDYNE株式会社CEO
特別講演4では、人とロボットをつなぐサイバニクス技術で最先端をいく筑波大の山海嘉之教授(CYBERDYNE株式会社 CEO)がサイボーグ型ロボット「HAL®」の成果を発表した。
山海教授が取り組むのは、人とロボット、AI、IoTにかかわる分野で、IoH(Internet of Humans)が重要なキーワードである。人間の身体や生活にかかわる情報を扱い、成熟社会に革新をもたらすと期待されている。
ロボットは、すでに社会のパーツになっているが、「人と一緒に仕事をしてはいけない」というルールがあった。また、コンピュータの処理能力の向上でAIが急速に進歩しているが、学習型の将棋や囲碁のプログラムは、どうして勝つのか設計者もわからない部分があるという。こうした技術を社会で使うには一定の枠組みが必要だ。山海教授は、新技術を社会の中で使うための国際ルールづくりに力を注いできた。
サイバニクスの研究領域は、人とサイバーフィジカル空間の融合、人とテクノロジーの共生である。人間の体の中の情報を簡便に取り出す技術が開発され、皮膚や衣服の上から体内の情報を収集することができるようになっている。IoH/IoTの通信技術を使うことで、脳神経系や生理にかかわる情報をビッグデータとして集積・解析できる。
2040年代に日本は高齢化のピークを迎えるが、身体、脳神経系、生理系、生活にかかわる情報をスーパーコンピュータまでつなぎ、データを分析することで、病気の早期発見や予防に活用することができる。効率的な介護の方法も見出すことができるだろう。
これまでのロボットは人の動きを代替することが主だったが、サイボーグ型ロボットの「HAL」は、人とロボットをつなぐのが特徴だ。HALは動作意思を反映した微弱な生体電位信号を検出することができる。人間の脳神経系の情報をロボットが検出し、意思に従って動く。さらに感覚器の情報が脳に戻ることによって神経と神経、神経と筋肉のシナプス結合を調整する技術である。現在、HALを使った治療を世界中で展開している。「日本、ドイツ、ポーランド、米国からどんどんデータが集まってきている」と山海教授。
山海教授が、ビデオを使ってHALによる治療成果を紹介した。
10年以上車いす生活をしている完全脊損の少年が2014年12月、HALを装着した。最初は反応がなかったが、3時間経った頃、生体電位信号が出現し、HALを介して膝が動き始めた。その後、H A L 腰タイプも使用し、体幹も改善が見られ、ついにHALを外しても腿(もも)が上がり始めた。その様子が流れると、会場から驚きの声が上がった。
現在、HALによる治療は、ALSや筋ジストロフィーなど八つの神経・筋難病疾患の治療が保険適用になっている。脳卒中でも治験が始まっている。最後に山海教授は、HALの技術を活用した介護する側の支援機器を紹介した。腰回りに装着することで、介助の際の腰への負荷を低減することができる。サイバニクス技術が医療・介護現場に変革をもたらす日はそう遠くなさそうである。
全日病ニュース2018年11月1日号 HTML版
[1] 全日病ニュース・紙面PDF(2018年9月1日号)
https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2018/180901.pdf
2018年9月1日 ... キュラム制に基づく技術研修と学習、そして厳格な資格審査によって認証すべきである。
③医師のキャリアパスに則り、 ..... テム、インターネットからの分離など. が求められる。
...... 大学サイバニクス研究センター研究統. 括、CYBERDYNE ...
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。