全日病ニュース

西日本豪雨災害でのＡＭＡＴ活動状況を報告

【学会企画シンポジウム２】病院救急車で患者の搬送を支援

　学会企画として、平成30年７月（西日本）豪雨災害におけるAMAT活動状況報告のシンポジウムが行われた。７月豪雨では、岡山県倉敷市真備町周辺が水没。水に浸かったまび記念病院は孤立した。AMATは、倉敷市を中心に最大６隊が被災地に滞在し、支援を続けた。シンポジウムでは、被災地の活動とともに、AMATの意義や課題を議論した。座長は、猪口正孝常任理事（AMAT本部統括）と種村一磨・広島県支部長（救急・防災委員会委員）。
　救急・防災委員会委員の大桃丈知・平成立石病院副院長によると、「７月７日の時点では、病院の被災はないとの報告だった」。しかし、一夜明けると状況が変わった。「本部を立ち上げ、先遣隊を送った。岐阜・愛媛の状況はわからずプッシュ型、岡山はプル型。その後、岐阜・愛媛の支援は必要ないことが確認でき、後続隊を含め合計13チームが岡山に入った」。今回は、「病院支援」よりも、病院救急車を活用した「搬送支援」が中心だったと指摘した。
　救急・防災委員会委員の小關剛・筑波記念病院副理事長は、AMATの特徴について、「DMAT とJMATの間にAMAT が入ることで、活動全体がシームレスになる。AMATは患者搬送能力が高く、支部が機能しているため、情報収集能力もある」。今回のAMATの活動実績を「大きな一歩だ」と評価した。
　加塩信行・永生病院副院長は現地での活動を振り返り、「浸水した地域での活動だったが、事前に研修していたので、比較的円滑な支援ができた」と述べた。避難所となった小学校では、診療や熱中症対策を行った。孤立した被災者を訪問し、介護困難になった高齢者を光生病院に搬送するなど支援した。
　岡山県支部長の佐能量雄・光生病院理事長・院長は、まび記念病院での救助活動の映像を示しながら、活動の実際を報告した。その上で、「人工呼吸器や喀痰、人口透析などのため、病院は電気と水が命綱。避難所では、地域包括ケア病棟や小規模多機能型施設への早めの転送が必要な被災者がいる」と強調した。AMAT活動に関しては、「早めの出動が重要。空振りでも無駄ではなく、立派な実技訓練になる」と述べた。