全日病ニュース

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救命救急現場の自殺症例からひもとく健診・メンタルヘルスケアの重要性

救命救急現場の自殺症例からひもとく健診・メンタルヘルスケアの重要性

【人間ドック委員会企画】
人間ドック委員会委員長 西 昂

 今回、日本医師会認定産業医教育講演として、日本医科大学の布施理美先生より、「救命救急現場の自殺症例からひもとく健診・メンタルヘルスケアの重要性」についてご講演いただいた。
 以前、全日病の「平成27年度 保健指導士更新研修会」においても、ストレスチェック制度の義務化に伴い、メンタルヘルスについて講演を行ったことがあったが、布施理美先生は、運ばれてきた自殺者に処置を施しても、一週間後にはまた搬送されてきてしまう現状や、逆に自殺を図ったが処置をされるうちに生きたいと思い直すも、助けられなかった話など、実体験に基づく救急現場ならではの内容をご講演いただいた。
 その一見重くなりがちな内容を布施理美先生は、フジテレビで放映された「救命病棟24時」における医療指導の経験等、様々な話題を用いて、決して重い雰囲気を作らず参加者の興味を二時間惹き続けた。
 年間自殺者数は厚労省のデータによると、平成27年度では24,025名に至る。
 直近では過労死のニュースが報道され、誰もがそうなる前に手を差し伸べることが出来なかったのか、と心を痛ませたはずである。
 このメンタルヘルスケアとは、そういった方々を予防する役割がある。
 だが、現時点においてメンタルヘルスケアに対する理解は浅く、普及についても時間がかかると思われる。
 今後、人間ドック委員会はこのメンタルヘルスケアの重要性について再認識し、予防医学の観点からも真摯に取り組んで参りたい。

 

全日病ニュース2016年12月1日号 HTML版