全日病ニュース
機能評価受審の問題点 ―いかに解決して再更新したか―
機能評価受審の問題点
―いかに解決して再更新したか―
【機能評価委員会企画】
機能評価委員会委員長 木村 厚
近年、日本医療機能評価機構の病院機能評価の更新を辞退する病院が増加しており、認定病院が減少する原因となっている。今回、更新を辞退したが問題点を克服し再更新をした3病院の代表の方と当委員会の美原盤委員に講演頂き、その後討論した。
まず東京の寿康会病院看護部長の小野寺都留子氏の報告があった。1997年に同病院がリニューアルした年に評価機構が設立され、東京でも7番目と割と早い時期に認定を受け、1回は更新を受けたが、その後更新しなかった。
その理由は、① Ver5で評価項目数が膨大になった、②中小病院も大病院と同様な取り組みが求められ、中小病院独自の機能評価がされにくい、③費用が高い、④病院移転話が持ち上がっていた、等であった。その後3rdG となり①機能種別の受審が可能となった、②認定期間中の確認がありフォロー体制が整備され、継続的な質改善活動が評価される、③評価項目が減少し、中小病院でも挑戦しやすくなった、等により2015年3月に訪問審査を受け更新した。更新審査を受けることで、病院理念の見直し、チーム医療の重要性を見直し、他部門への理解が深まり、連携が強化された。との内容であった。
続いて大阪暁明館病院院長の坂宗久氏の報告があった。同病院院は2001年にVer3で初認定され、2006年に更新した。しかしその後、①施設の老朽化、②費用が高い、③他の第3者評価もいいのではないか、等の理由から更新しなかった。その後、①2010年から各部署の目標設定にBSC(バランス スコア シート)を導入したが、その4つの視点(財務、患者、業務プロセス、学習と成長)は第3者評価においても大事な視点であること、②病院機能評価を取得し、継続し続けることは医療現場における質と安全、経営の向上に大きく貢献する、③病院が新築移転した事などから、2015年3月訪問審査を受け更新認定された。更に地元熊本の江南病院院長の内賀嶋英明氏から報告があった。同病院は2002年にVer3で初回認定され、1回更新しているがその後、①職員アンケートで更新した方が良いとする人が減少した、②受審準備にかかる作業が膨大で残業、休日出勤が増えストレスが溜まった、③機能評価に気を取られ、通常の業務が後回しになった、④機能評価が一般に知られていない、⑤特に医局の人員不足から反対があった等の理由から更新しなかった。
その後、事故報告書、針刺し事故が増加してきた。自発的な業務改善が進まなかったなどの理由から、受審の必要性が検討され、①3rdG はプロセスを重視している、②病院機能に合わせた審査項目となった、等の事より医局も説得し2015年12月に訪問審査を受け更新認定を受けた。
最後に当委員会の美原盤氏から機能評価は病院管理のツールである、受審するだけではなく継続的な質改善が必要であり、前回の評価より少しでも改善しようと努力することが大事である、今後はアウトカムの評価がなされるようになる、とのコメントがあった。
その後フロアも交えて討論があったが、①病院機能評価は病院機能の改善には大いに役に立つ、②機能評価受審には継続的な医療の質改善活動が必要である、③病院機能評価を国民にもっと知らしめる活動が機能評価機構には求められる、ことが確認された。
全日病ニュース2016年12月1日号 HTML版