全日病ニュース

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社会の変化に病院はどう対応すべきか― プライマリ・ケアと医師確保の視点から ―

社会の変化に病院はどう対応すべきか
― プライマリ・ケアと医師確保の視点から ―

【プライマリ・ケア検討委員会企画】
プライマリ・ケア検討委員会委員長 丸山 泉

 専門医の19番目の領域である総合診療専門医の行方は、1年間延期となり新しく編成された日本専門医機構に委ねられている。そのため、今回は専門医のあり方ではなく、なぜ彼ら、総合診療をする医師が必要とされているか、どのような場で働き、どのようなことに配慮すれば当該病院において十分な役割を果たし、かつ、彼らにとって安定した職場となるのか、ということに主眼をおいた。
 本委員会の委員である宮地千尋・藤井久丈先生の軽妙洒脱な司会進行により、フロアからの笑いも起こり和やかなセッションとなった。
 初めに、元厚生労働省、現在アクセンチュア株式会社の武内和久氏から、日本の医療がおかれている現状を喫緊の課題とともに大局的な視野でお話しいただいた。
 続いて、本協会の副会長である織田正道先生から、地域にきわめて密着し医療的役割を果たしながら自己改革を遂げてきた病院の代表者として、十年以上にわたる患者像の変化とそれに対応するために総合診療を導入してきた経緯とその効果についてお話しいただいた。
 次に北海道美唄市立病院の木村眞司先生より、最近まで院長をしていた松前町立病院において、若い医師達がなぜ交通も不便な施設に集まり、全科医を旗印に研鑽を続けながら地域の医療を守ることが出来たのか、指導医の役割と病院における教育とビジョン構築の重要性について知ることが出来た。
 最後に、赤穂市民病院の一瀬直日先生から家庭医をコアとした病院総合医のあり方についてお話しいただいた。
 同市民病院が家庭医をコアとし、セッティングの違いを超えて仕事をすることが出来る総合医を複数配置することで、従来の臓器別専門医の仕事が整理され、臓器別専門医にとってもプラスにはたらき、臓器別専門医と総合診療医を共に配置することによる相乗効果を明確に示された。
 その後、まとめのディスカッションが行われたが、フロアの数名の方に感想をお聞きしたところ、高い評価をいただいたことを付しておく。

 

全日病ニュース2016年12月1日号 HTML版