全日病ニュース

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医師事務作業補助者研修実践力向上セミナー開く

医師事務作業補助者研修実践力向上セミナー開く

診断書、主治医意見書等の文書作成を学ぶ

 「医師事務作業補助者研修実践力向上セミナー」が11月3日、全日病と日本医療教育財団の共催で、全日病会議室で開催された。78名が参加して、処方せんや診断書、主治医意見書などの医療文書作成のポイントを学んだ。
 冒頭、医療保険・診療報酬委員会の太田圭洋委員が挨拶し、セミナーの趣旨を説明した。セミナーは、全日病が2006年から実施している医師事務作業補助者研修のフォローアップとして開催された。同研修の修了者から、さらなるスキルアップを図りたいという声や離職した後の職場復帰のために再度研修を受けたいという要望があり、医師事務作業補助者の業務の要となる医療文書の作成に特化したセミナーを開催した。
 また、セミナーは、全日病と日本医療教育財団が行う医師事務作業補助技能認定試験の受験対策ともなっている。
 この試験に合格すると、ドクターズクラークの資格が得られる。ドクターズクラークは、医療文書の作成をはじめ医師事務作業補助者として必要な技能を有していることを証明する資格。「全国の医療機関で活躍が期待される資格だ」と太田氏は紹介した。
 セミナーは、模擬試験とその解説を中心とした実践的な内容になっている。
 模擬試験は、カルテをもとに処方せん、診断書、自賠責診断書、主治医意見書の4つを1時間で作成する。模擬試験の実施後に日本医療教育財団訓練課の古宮主任が、カルテの読み方をひも解きながら文書作成のポイントを解説した。
 古宮氏は、「同じカルテから作る文書であっても、目的によって書き方は異なる」として、作成する医療文書の目的を考えた上で、正確かつ丁寧に記載することを勧めた。
 診断書は、受診時の主訴や診断の根拠、治療の内容、休業期間や療養期間を記載する。古宮氏は、カルテのどの部分を抜き出すかを説明し、「丸写しではポイントが伝わらない。まとめ方が大切」と指摘した。
 自賠責診断書(自動車損害賠償責任保険診断書)は、自動車事故における傷病の説明とその治療費を請求する文書。事故による負傷の傷病名、治療開始日、病状の経過、治療の内容および今後の見通しを記載する。受傷日と初診日が異なる場合があるので、注意が必要だ。
 主治医意見書は、「医学的内容だけでなく、介護の知識も必要になるので、完成させるのがたいへんな文書」(古宮氏)。家族や看護師に聞き取った内容を記載することもあるが、医師事務作業補助者が担当する範囲は病院によって異なるので、それによって補助者が書く範囲も異なることになる。

 

全日病ニュース2016年12月1日号 HTML版