全日病ニュース

次期医療計画の基準病床数算定式を了承

【厚労省・医療計画検討会】
５疾病・５事業に新たな指標を設定

　厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」（遠藤久夫座長）は11月９日、2018年度からの第７次医療計画における基準病床数の算定式を了承したほか、５疾病・５事業の見直し案について厚労省から説明を受けて議論した。
　基準病床数算定式の分母に用いる病床利用率は、2010 ～ 2015年の平均をとって一般病床は76％、療養病床は90％を下限とする。これまでは、直近の病院報告の値を用いていたが、次期計画では下限値を定め、各都道府県の直近の値がこれを上回る場合は、その数値を上限として定める。
　算定式の分子に用いる平均在院日数は、地方ブロックごとの経年変化を踏まえて日数を設定することとした。これまでは、病院報告における地方ブロックの平均在院日数に0.9を乗じて日数を設定していた。「0.9」は平均在院日数の短縮傾向を基準病床に反映させるための数値。しかし、近年はブロックごとの平均在院日数の変化に違いがみられるため、次期医療計画では、地域差を是正するため、平均在院日数が全国平均を下回っている場合は、そのブロックの直近６年の短縮率を使う。平均在院日数が全国平均を上回っている場合は、「全国値＋α」とそのブロックの直近６年の短縮率を比較し、より高い短縮率を使う。「α」は、地域差の是正を目的として、適当な値を設ける。
　また、療養病床の算定式の分子に用いる「介護施設対応可能数」は「在宅医療等対応可能数」に見直すこととした。
　将来的に他の病床等での対応が見込まれる分については、「療養病床の在り方等に関する特別部会」の検討状況を踏まえて見直す。
　そのほか、減少傾向が続いている有床診療所は、地域包括ケアを推進する役割が期待されていることから、届出要件を緩和する。当分の間、地域における役割が届出の際に確認できる場合は、医療計画の記載を不要とする。
５疾病・５事業の見直しを協議
　次期医療計画における５疾病・５事業および在宅医療について、厚労省が見直しの考え方を示すとともに、計画の実効性を確保するため、指標の見直し案を示した。
　がんについては、均てん化を推進するため、がん診療連携拠点病院のない２次医療圏に地域がん診療病院を整備することとし、新たな指標として「拠点病院のない２次医療圏における地域がん診療病院の整備状況」を追加する。
　脳卒中では、標準的治療を普及させるとともに、発症早期のリハビリテーションを推進し、回復期・維持期のリハビリテーションにスムーズに移行できるよう、医療機関相互の連携を図る。
　「脳梗塞に対する脳血管内治療の実施」を指標に加える。
　急性心筋梗塞は、「心筋梗塞等の心血管疾患」に名称を改め、急性期から回復期・慢性期までの一貫した医療提供体制を構築する。「来院後90分以内の冠動脈再開通達成率」を指標とする。
　糖尿病では、医療機関と薬局・保険者が連携し、健診者および治療中断者への受診勧奨を行う。「糖尿病透析予防指導管理料の算定件数」を指標とする。
　精神疾患では、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構築するため、保健・医療・福祉関係者による協議の場を通じて、精神科医療機関、一般医療機関、地域援助事業者、市町村との連携による支援体制を構築する。
　「都道府県・２次医療圏を集計単位とした指標」を追加する。
　全日病会長の西澤寬俊委員は、脳卒中や急性心筋梗塞の見直しについて、「急性期から慢性期までを含めた医療体制を構築するというが、医療提供体制が十分でない医療圏もあり、一気に進めると混乱する。時間をかけて議論すべきだ」と述べ、慎重な対応を求めた。